【ファイナル・レビュー】夕暮れのセブンハンドレッドに歓喜の歌と紫紺の虹が流れた。[SQUADS(スクワッズ)2022 〜フットゴルフチーム日本一決定戦〜]
振り返るとOne 8ty Bは1Hからボギーを叩き、最下位発進という最悪のスタート。
予選で輝いた大内由佳選手がティーキックを蹴らなければならないという勝利のルーティンワークが崩れ、乗り切れなかったチームの転機は6H。
その時点で第7位だったチームを救ったのはリーダー "完全感覚フットゴルファー” 照井将孝選手。
126yのミドルホール、ラフからの難しい上り、距離は17mのバーディートライの決めれば「4 pts」が入るシチュエーション。
インサイドから放たれたボールは、完璧なスライスラインを描きカップの中へ飛び込んだ。
そのビッグプレーでチームは第3位に浮上、どんなに苦しい状況でも長い距離を一本沈めれば、一気に優勝戦線に加われる事を改めて証明した。
世界で勝つためにはティーキックの飛距離、アプローチの正確性ももちろん大事だが、ロングパットの重要性がそれを上回ると考える。
距離ボーナスにはグローバルで戦うための裏テーマも隠されている。
8H、池越えのショートホール。
ファーストキッカーを任された”3度のメシよりデザート好き"岡洋之選手の放ったボールは対岸のフチに当たりながら、池に落ちず真上へ上がりそのままバウンドし、ピンに近づくように緩やかに転がり4mの好位置へ、終盤は運も味方する流れに。
その容易くない距離をダブルトライを宣言し、難なく成功させ、最終ホールも大事な第3打目のアプローチをピンそば1mにつけるなど、高クオリティのプレーを連発した照井将孝選手が、満場一致でファイナルMVPに輝いた。
終盤の8H、9Hまでダブルトライを温存し、それを両方成功させた勝負勘の鋭さもまさに見事の一言、優勝にふさわしい戦略だったと言える。
「カツならやるかも」そういう雰囲気を纏い放った19mのダブルトライバーディーパットは、難しい下りのスライスラインを緩やかになぞり優しくカップの中へ消えた。
スクワッズ2019、関東予選フライトA、そして今大会の3大会連続エクセレントツーに選出され、「エンペラー・カツ」の称号にふさわしい”克"躍だった。
2017年のスタート以来、スクワッズにずっと参戦してきたチームOne 8tyが、ワンツーフィニッシュしたというのは感慨深いものがある。
One 8ty Aの最終パットで優勝を狙わず、優勝と準優勝をチームOne 8tyとして勝ち得るという戦略は、かの1990年代のF1で常勝を誇ったマクラーレンホンダのアイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーをフラッシュバックさせた。
毎回複数チームで参戦し、1チームに戦力を集中させることなくレディースも含めバランスよく編成して、そしてまずは全力で楽しもうという、チームとしての姿勢が勝ち得た結果というのも補足したい。
One 8ty B、本当に優勝おめでとう。
そしてチームOne 8ty、ワンツーフィニッシュおめでとう。
その快進撃の流れを引き寄せたのは、予選でもホールインワンを達成している”アフージャパンのファンタジスタ"浅野 駿選手 の2Hのロングホールで第二打目をピンそば1mに寄せたスーパーアプローチだった。
その序盤戦一番のプレーで、並み居る多士済々な面々を抑え予選に引き続き、エクセレントツーに選出された。
そして今大会の最大の驚きと言えば、事前優勝予想ナンバーワンの銀河系軍団、アルバトロス(関東A第2位)がまさかの最下位に沈んだことだろう。
ジャパンチャンピオン経験者の二人(”百戦錬磨のデンジャーボーイ"小林隼人選手、”天下無双のワンダーボーイ"立花友佑選手)に元プロサッカー選手”一蹴入魂のオールドルーキー"青木剛選手を加えた無敵の三本マイクは、途中失速したわけではなく、1Hからポイントを取り切れない苦しい状況が続いた。
一つ要因があるとすれば、ホール毎に使用ボールを変えていたことによる「微妙な感覚のズレ、空気圧の違い」などで最後までアジャストさせるのが難しかったという点か。
トッププレイヤーになればなるほど、その感覚は想像以上に繊細だ。少しの違和感がプレーを左右する要素となる。
傷ついたプライドはこのままでは終わらない。次回はアルバトロスが天まで羽ばたく姿を期待したい。
事前予想で上位だったフットゴルフダイスキ(関西第1位)、Ganador(関東B第1位)、InToeIn(関東B第2位)にも途中まで優勝の可能性があったが、同じくダブルトライ失敗やティーキックのブレなど、ワンプレーの瞬間を捕まえられず、いずれのチームも優勝に届かなかった。
"栃木で生まれ栃木を愛する男"高久 大河選手が率いる直前予想でドラマティックタイガーとコピーがついていたteam Tiger(関東A第3位)。
2Hでのイーグルを皮切りに、3Hバーディー、4Hダブルトライバーディー、5Hイーグルと連続ポイント。
特に”威風堂々"重藤 誠選手が見事なクロージングを見せ、一時は首位に躍り出た。
しかしながら、その重藤選手が6Hで上からの難しいバーディートライを失敗、7Hでもティーキックを右に大きく外し、手痛い連続ボギー。最終ホールでも逆転優勝の可能性はあったが、全てを賭けた高久大河選手のダブルトライのバーディーパットは惜しくも30cm届かず、結果第5位でフィニッシュとなった。
優勝したOne 8ty Bのシャンパンファイトを”栃木のジャンケン最弱王"大内 誠剛選手とともに自分の事のようにはしゃぎ踊る高久 大河選手の姿は若者らしくとても清々しく感動を呼んだ。
そういった選手の個性や人間性というのもスクワッズが大切したい要素の一つである。
優勝は全チームに可能性があった。
ただ9Hの中の勝負どころの場面で、決めるか決めないかでこんなにも明暗が分かれるものか。
そこで輝ける選手がスターになっていく。
それがこのフットゴルフエンターテイメントの奥深さであり、魅力だ。
そして、スクワッズはまだまだ進化途中にある。
もっともっと出場する選手がタレントとして魅力的に映るように仕掛けていきたいしフットゴルフの価値を高めていきたい。
加えて日本のみならず、世界中のフットゴルファーがW杯と同じくらいにスクワッズでプレーしたいと夢見るようになること、それが近い将来の目標でもある。
それはまだまだ時間がかかることであるし、運営スタッフだけのチカラでは到底及ばない。
出場する全選手、全関係者を含めてその雰囲気と舞台を一緒に作っていくことが必要不可欠だ。
また新たなストーリーを紡ぎ出すためにココロを一つにしていきたい。
この場を借りて、全出場選手、全関係者、全ゴルフ場のみなさん、そして全スタッフのみなさんに最大級の感謝を。
トモニイコウ、ケイゾクハチカラナリ。
プロデューサー・コージャ今村
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